どんな味なのか、ついつい検索してしまう!⼤ヒットアルコー ル飲料の新CMがランクイン
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ノバセルにてマーケティングの効果として重要指標としている「指名検索」。
CM放映の前後数分間に増えた指名検索数をCMの放映量で割ったスコアを「指名検索スコア」と設定し、理論上はこのスコアが⾼いほどCMによってブランド名がより効果的に検索されたと計測しています。あらゆるテレビCMの指名検索スコアが可視化できる「ノバセルトレンド」にて、2023年10⽉の指名検索スコア順テレビランキングをご紹介します。
2023年10⽉ 指名検索スコアの⾼いテレビCMランキング
2023年10⽉1⽇〜10⽉31⽇の期間に放送されたテレビCMのうち、⾼い指名検索スコアを獲得したCM上位5件のランキングと、CM内容をご紹介します。
1位:RIZAP「chocoZAP」
(出所 chocoZAP「プレゼン前夜篇」2023/09/28 https://www.youtube.com/watch?v=AmHNsfuAMFw)
昨月も3位にランクインした「chocoZAP」のCMは、先月同様に「プレゼン前夜 セルフホワイトニング篇」のクリエイティブが指名検索スコアの好調の要因です。ホワイトニングや歯列矯正など口腔ケアへの意識が高まる昨今、ジムに通うことでセルフホワイトニングができるサービス特徴に関心が高まっていることが分かります。
2位:エクスコムグローバル「イモトのWiFi」
突如テレビから流れてきた韓国アイドル「KARA」の2011年のヒット曲「GO GO サマー!」に懐かしさを覚えた方も多いのではないでしょうか。デビュー15周年を記念し2022年11月に再始動したKARAを起用し、原曲のMVをオマージュした替え歌のCMで海外旅行の復活をテーマに放映。イモトのWiFiの需要の高まりから、2019年以来4年ぶりに制作した本CMが2位にランクインしました。
3位:サントリー「こだわり酒場のタコハイ」
(出所 サントリー公式チャンネル (SUNTORY)「こだわり酒場のタコハイ『でんタコ』篇 15秒 田中みな実 サントリー CM」2023/10/16 https://www.youtube.com/watch?v=66KxdIeB3AU)
田中みな実さんが出演し、おでんを食べながら「こだわり酒場のタコハイ」を一緒に「でんタコ」と紹介するCM。以前からどんな味かを多く語らないクリエイティブが気を惹きつけ「タコハイ」は人気に火がついている商品。これから寒くなる時期に向けておでんと「タコハイ」という組み合わせのクリエイティブにより、指名検索スコアが伸びた結果となりました。
4位:ネイチャーラボ「MARO」
(出所 ネイチャーラボ NatureLab Co., Ltd. 「MARO「全部洗い流して、また明日。」篇 30秒」 2023/09/26 https://www.youtube.com/watch?v=mplhKsWp8gQ)
King Gnu、millennium parade、 PERIMETRONと様々なプロジェクトで活躍される常田大希さんがクリエイティブ監修とご自身が出演したことで話題になったメンズスキンケアブランドのCM。
常田さんのプライベートを撮影しているかのようなクリエイティブで、MAROを使いワイルドにシャンプーする様子にくぎ付けになった人も多いのではないでしょうか。
5位:大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ「大江戸温泉物語」
大江戸温泉 TAOYA那須塩原のクリエイティブに好反応がでています。女性が落ち着いた施設内でゆったりと過ごす様子を映したクリエイティブ。シェフが作った料理を嗜む、自然に溢れた景色を見ながら温泉に浸かるなど「大人の隠れ家」という言葉にもあるように大人の雰囲気を協調しています。
今月のランキングでは、久しぶりの登場に指名検索スコアを伸ばした2位「こだわり酒場のタコハイ」のCMを分析・解説していきます。
「こだわり酒場のタコハイ」分析・解説
サントリー「こだわり酒場のタコハイ」は2023年3月から販売を開始し、発売から4カ月で当初年間販売計画を突破。年間販売計画を当初の2倍となる500万ケースの売上に上方修正した※ほどの大ヒットとなっているアルコール飲料です。
※ 出所 サントリーホールディングス
2023年12月期 中間決算概況〔IFRS〕(連結)
https://www.suntory.co.jp/company/financial/pdf/results_202306.pdf
「こだわり酒場のタコハイ」テレビCM放映量と指名検索数
サントリーの「こだわり酒場のタコハイ」は、登場から10⽉に⾄るまで継続してTVCMの放映を⾏っています。
やはり、初回放映の2023年3⽉が最も放映量は多く、尚且つ指名検索数も⼤きくリフトしていることがわかりますね。この連続して放映の8か⽉の間に、クリエイティブは「何の味なの?」篇「まだ飲んでない⼈?」篇「でんタコ」篇の3つが流れていました。
【クリエイティブ分析】
「何味なの?」篇 15秒
「まだ飲んでない⼈?」篇 15秒
「でんタコ」篇 15秒
(出所:サントリー公式チャンネル (SUNTORY) https://www.youtube.com/@SuntoryGroup)
どの素材も、詳しい味の説明は⼀切なく、関⼼を引く内容となっています。
では、指名検索スコアはどうでしょうか?
発売開始時の3月から10月までの期間の中で、「でんタコ」篇が最もスコアが高いことがわかります。これまでのクリエイティブは一貫してタコハイがどのような味なのかをあえて想像させる内容となっていましたが、10月放映の「でんタコ」篇ではおでんを食べたあとに「こだわり酒場のタコハイ」をおいしそうに飲む描写があります。
これは、どのような食事と合うのかを提示し、味を想像しやすくしていると考えられます。また、これから寒くなる季節に温かいおでんと冷たい「こだわり酒場のタコハイ」の対比も惹かれる要素の一つになったのではないでしょうか。
また、でんタコと連呼することにより記憶に残りやすいことも関係していると考えます。「こだわり酒場のタコハイ」に関連する検索キーワードを発売時と現在で比較した際に、検索キーワードに変化が出てきてます。
発売当初の3月は、「タコハイ とは」などの「こだわり酒場のタコハイ」がどういう商品なのか、名前の由来は何なのか、多くを語らないCMが功を奏し、「こだわり酒場のタコハイ」そのものに関心が高いことがわかる検索結果になっています。
一方で、「タコハイ 味」の検索ボリュームが2023年3月と比較すると、10月では約2.4倍に増加しており、タコハイ自体の関心から、タコハイの味への関心に移行しています。CMでおでんと組み合わせた訴求により、更に加速していると言えます。
総括
2023年10月放映のテレビCMは、サントリー「こだわり酒場のタコハイ」を取り上げて解説しました。商品がヒットする裏には、商品が気になるきっかけを作り、その後に商品をどう楽しむのがおすすめかを提示したことにより、継続したヒットが生まれる好事例となっていました。テレビを”ながら視聴”するユーザーが増えている近年では、CM放映前後に商品やサービスが検索された数・割合を知ることで、世の中のトレンドや関心度が伺えます。