インサイトをついた直接的なキーワードが検索行動を促した鍵に
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ノバセルにてマーケティングの効果として重要指標としている「指名検索」。CM放映の前後数分間に増えた指名検索数をCMの放映量で割ったスコアを「指名検索スコア」と設定し、理論上はこのスコアが高いほどCMによってブランド名がより効果的に検索されたと計測しています。あらゆるテレビCMの指名検索スコアが可視化できる「ノバセルトレンド」にて、2024年1月の指名検索スコア順テレビランキングをご紹介します。
2024年1月 指名検索スコアの高いテレビCMランキング
2024年1月1日~1月31日の期間に放送されたテレビCMのうち、高い指名検索スコアを獲得したCM上位5件のランキングと、CM内容をご紹介します。
1位:RIZAP「chocoZAP」
「コンビニジム 美容ケアも」篇 15秒-1
会員数100万人を超え※1、国内フィットネスジム会員数日本一※2のchocoZAP。少しの時間でchocoZAPのサービスを受けられ、店舗もスマホで調べることができ便利な様子をコンビニジムという言葉で表しているCMです。美容ケアも扱っていることがテロップで示されています。
2位:BYD Auto Japan「BYD DOLPHIN」
(出所 BYD JAPAN 「BYD DOLPHIN | BYDコンパクトEVの決定版 篇 TVCM」 2023/10/20 https://youtu.be/Ez9n3De-EFs)
電気自動車のグローバルリーダー「BYD」が日本で発売する第二弾モデルのコンパクト電気自動車「BYD DOLPHIN」のテレビCM。他の電気自動車のCMとは一線を画した「小回りのしやすさ」、「車内空間の広さ」、「幼児置き去り検知システム」など一般的な車の特徴を伝えているクリエイティブが、引き続き指名検索スコアを伸ばしています。
3位:アマゾンジャパン「Amazon」
1月3日から7日まで開催された初売りを案内するCM。AmazonのセールCMでお馴染みのベルトコンベアに商品が流れていくクリエイティブを展開。お正月休みでテレビを見ている人も多い中で検索がいつも以上に伸びた結果ではないでしょうか。
4位:クーリエ「みんなの介護」
(出所 みんなの介護 「老人ホーム検索サイト「みんなの介護」2023年11月版・TVCM”相場検索”篇」 2023/11/02 https://youtu.be/MqMOE0peLEw)
俳優 笹野高史さんと猫に扮したおかずクラブのオカリナさんが登場する老人ホーム検索サイト「みんなの介護」のCM。年金の範囲内で入居できる相場検索について訴求。オカリナさんの声は声優のTARAKOさんが担当されており、ながら視聴の方にも聞きなじみのある声にテレビに目を向けたらオカリナさんだったというギャップにも注目を集めた結果ではないでしょうか。
5位:オプテージ「mineo」
指ハートのポーズだと思ったら手元にSIMカード。SIMカードを入れ替えるだけで簡単にmineoが使えるという利便性、機種もキャリアもそのままで月額料金が安くなるというサービス特徴を伝えたCMです。
今月のランキングでは、老人ホームに関連するテレビCMが多い中で4位にランクインした「みんなの介護」がなぜ指名検索スコアを伸ばしたのかを分析します。
※1 https://www.rizapgroup.com/news/detail?topics_id=717
※2 https://www.rizapgroup.com/news/detail?topics_id=713
「みんなの介護」の分析
「みんなの介護」は株式会社クーリエが運営する老人ホーム検索サイトです。多彩な条件で施設を探せる独自の検索サービスが最大の特長で、サイト上のパノラマ画像で実際の施設を確認することができます。
https://www.courier.jpn.com/products/
放映と指名検索の比較(関東)
「みんなの介護」の指名検索を見てみると、放映のタイミングで増加しておりCMを見て検索が伸びていることがわかります。
クリエイティブ別比較(関東)
2024年1月で放映があったのが「クチコミ比較編」、「空室検索編」、「相場検索編」の3本で、その中で一番指名検索スコアが高かったのは「相場検索編」となりました。
・「相場検索 2023年11月」篇 15秒 https://www.youtube.com/watch?v=MqMOE0peLEw
・「クチコミ比較 2023年11月」篇 15秒 https://www.youtube.com/watch?v=7NJIEo2M9pU
・「空室検索 2023年11月」篇 15秒 https://www.youtube.com/watch?v=MY0BYdS1kXY
(出所 みんなの介護 https://www.youtube.com/@minnanokaigo)
どのクリエイティブも自身が老人ホームを調べる描写があり、老人ホームに対して不安な部分を払拭する内容になっています。スマホを持ち検索するシーンもあるため検索行動を促したのではないでしょうか。特に指名検索スコアが高かった「相場検索編」では「年金の範囲で入れるところないかな」というセリフがあり、今の世の中の情勢や不安に思う部分とマッチし指名検索スコアが上がったとみられます。
検索層 2024年1月(全国)
「みんなの介護」の検索層は60代女性が一番多く、男女ともに60代、70代以上の検索が半数以上となる高い結果となりました。クリエイティブの内容と一致し、今後老人ホームへの入居を考えている本人や、後期高齢者の子ども世代が検索していると言えます。2023年8月の放映時も指名検索スコアが高かったので、2023年8月で放映があった4本の中で一番指名検索スコアが高かった「費用比較篇」と2024年1月の「相場検索編」と比較します。
上記のように「相場検索編」が「費用比較篇」の倍近くの指名検索スコアとなっています。2024年1月の「相場検索編」の方がインパクトがあり、またポップな印象のクリエイティブにすることで検索しやすく、向き合うきっかけになったのではないでしょうか。
上記のように「相場検索編」が「費用比較篇」の倍近くの指名検索スコアとなっています。2024年1月の「相場検索編」の方がインパクトがあり、またポップな印象のクリエイティブにすることで検索しやすく、向き合うきっかけになったのではないでしょうか。
共起キーワード比較(全国)
月別の検索キーワードのランキングを見ても、検索ボリュームが上がっています。「みんなの介護 CM」のキーワード順位が上がっているのを見ると、CM自体に興味を持った層も多かったのではないかと思います。
テレビと高齢者の相性、枠との相性評価(関東)
指名検索スコアも全体的に高い数値になっており、テレビを見る層と合致していると言えます。土日のプライム帯が一番高く、夕食を食べながらCMを見て検索した方も多いのではないでしょうか。午後帯では平日の方が指名検索スコアが高く、仕事もリタイアされ平日に時間の余裕がある60代以上の層が検索している結果といえます。
総括
2024年1月放映のテレビCMは、「みんなの介護」を取り上げて解説しました。テレビを”ながら視聴”するユーザーが増えている近年では、CM放映前後に商品やサービスが検索された数・割合を知ることで、世の中のトレンドや関心度が伺えます。