CM放映前にSNSで新起用タレントについて話題化させたことが限定メニューを気にするきっかけに
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ノバセルにてマーケティングの効果として重要指標としている「指名検索」。CM放映の前後数分間に増えた指名検索数をCMの放映量で割ったスコアを「指名検索スコア」と設定し、理論上はこのスコアが高いほどCMによってブランド名がより効果的に検索されたと計測しています。
あらゆるテレビCMの指名検索スコアが可視化できる「ノバセルトレンド」にて、2024年4月の指名検索スコア順テレビランキングをご紹介します。
2024年4月 指名検索スコアの高いテレビCMランキング
2024年4月1日~4月30日の期間に放送されたテレビCMのうち、高い指名検索スコアを獲得したCM上位5件のランキングと、CM内容をご紹介します。
1位:アース製薬「マモルーム」
(出所 Earth Corporation 「マモルームゴキブリ用 寝る前に篇 15秒 |アース製薬」 2024/04/05 https://youtu.be/P4sAXE2AUyA)
マモルームが室内に置かれている映像をバックに「寝る前にスイッチオン。それだけでゴキブリからマモルーム」のナレーションで呼びかけられるCM。その後に「お部屋まるごとゴキブリ予防。」ができる商品特長をCM内で解説。これからゴキブリが発生しやすくなる時期に向けて、多くの人が対策法を考え始める中で興味を掻き立てられたことから、検索ボリュームが増えたのではないでしょうか。
2位:日本マクドナルド「マクドナルド」
「好きな方へ、一歩。」篇 が2位にランクインしたマクドナルドの「サムライマック®」のCM。赤西仁さんのアップの表情に向けて「やりたいこと見つかりました?」と俳優の堺雅人さんが海辺で話しかけるところからCMがスタート。「やりたいことなんて、やってみないと見つからないんですよね。」とさらに話しかけ「好きな方へ、一歩。」のテキストをバックに二人が海へ歩き出すドラマ仕立てのクリエイティブです。
その後にサムライマック®炙り醤油風ダブル肉厚ビーフ、炙り醤油風ベーコントマト肉厚ビーフ、期間限定のトリプルビーフが紹介され、二人がお互いにサムライマックにかぶりつくシーンに切り替わります。期間限定のサムライマック®や新たに起用された赤西仁さんへの関心が高まった結果ではないでしょうか。
3位:RIZAP「chocoZAP」
(出所 chocoZAP 「cZ家探し篇 30秒」 2024/04/08 https://youtu.be/j7ZS2b073kc)
不動産屋さんで物件の希望を聞かれた夫婦が「chocoZAPのカラオケがある店舗の近くがいいです」、「chocoZAPの洗濯と乾燥ができる店舗の近く」とそれぞれが希望を伝え、「そこって運動するところですよね?」と店員さんに聞き返されるCM。不動産屋さんのCMかと思いきや、chocoZAPの様々なサービス展開や特徴を伝え、金額、新サービス拡大中のアナウンスを入れていく流れに多くの人の注目が集まった結果となったのではないでしょうか。
4位:BYD Auto Japan「BYD ATTO 3」
(出所 BYD JAPAN 「New BYD ATTO 3 | 人生を走りやすくするEV篇TVCM 15s」 2024/03/15 https://youtu.be/njzfEE75seA)
男性が転倒してしまう映像にあわせ「思い通りにいかない日々に、思い通りに走る時間を」のナレーションにあわせ「BYD ATTO 3」で楽しくドライブする様子に切り替わるクリエイティブ。以前のBYD JAPANのCMでは小回りなどの製品特徴を伝えるCMでしたが、今回は製品を持つことにより人生が豊かになるイメージを演出したことで、これまでの検索層と違った層へのアプローチになったのではないでしょうか。
5位:サガミホールディングス「味の民芸」
うどんの映像に合わせて「手打ちうどんではありません、手延べうどんです。」のナレーションから始まるCM。「練って こねて 延ばして つくる。」とこだわりのうどん作りの様子とともに、おいしそうな「黒酢の酸辣うどん」や「上にぎり寿司御膳」を映像で紹介。
3/21から4/3まで実施していた春の感謝祭のキャンペーン情報を最後に入れ、ビールや黒酢の酸辣うどんを値引きされた「お祭り価格」で案内していたことから、メニューやキャンペーンに惹かれ、検索した方が増えたのではないでしょうか。
今月のランキングでは、サムライマック®のクリエイティブで指名検索スコアを伸ばした「マクドナルド」について分析します。
「マクドナルド」の分析
【概要】
「マクドナルド」が4月に放映した9シリーズのクリエイティブのうち、商品のシリーズはサムライマック®の「好きな方へ、一歩。」篇、ベーコンポテトパイの「春と寄り道」篇、チキンマックナゲット®の「たっぷりいこうぜ!登場」篇 、あずきみるくフラッペ・宇治抹茶フラッペの「マックに春のフラッペがやってきた 茶室」篇となりました。
中でもサムライマック®の「好きな方へ、一歩。」篇は4月で最も高い放映回数となっています。サムライマック®は“大人が満足する”バーガーを目指して開発され、「炙り醤油風 ダブル肉厚ビーフ」と「炙り醤油風 ベーコントマト肉厚ビーフ」の2商品をレギュラー販売しており、期間限定で「炙り醤油風 トリプル肉厚ビーフ」を発売しました。つなぎを一切使用していない、ジューシーなビーフ100%が特徴のハンバーガーです。
マクドナルド公式HP
https://www.mcdonalds.co.jp/company/news/2024/0328a/
3/27にX(旧Twitter)の日本マクドナルド公式アカウントより、翌朝にサムライマック®の新テレビCMが公開されると案内がありました※。投稿内で名前を伏せて「この方がCMに初登場!」、とポストしたことにより放映前から話題になり、「サムライマック®」の指名検索が急上昇したことから、高い注目度がうかがえます。
※ https://x.com/McDonaldsJapan/status/1772881240934297775
4月の共起キーワードを見てみると、サムライマック®関連のキーワードが前月と比べて上昇しており、「サムライマック」は4倍以上の数値になっています。商品名の他にも「サムライマック cm」「サムライマック cm 俳優」等、事前にXで告知をしたことも功を奏し、テレビCMに関連するようなキーワードの検索ボリュームが上昇しています。
また、テレビCMに新たに誰が出演するのかを確認するためにCMを見た方々が期間限定で「炙り醤油風 トリプル肉厚ビーフ」が発売されていることにも気づき「サムライマック トリプル」などの期間限定メニューに関する検索ボリュームも急増しました。
指名検索スコアは平日プライム帯が高くなっており、出稿の時間帯とターゲットが合っていると言えます。土日の指名検索スコアが高めになっているのは、テレビCMを見て実際に休日にマクドナルドを利用する方が多いのではと考えられます。
サムライマック®の検索層は女性がやや多く、年代は40代、50代が多い結果となっています。マクドナルドが目指した「大人が満足するバーガー」が実現できていると言えます。レギュラーメニューであるサムライマック®の期間限定メニューを伝えるCMとして、新たにCM起用したタレントへの注目を集めながら、CM内でメニューへの関心を高めることに繋がった、SNSと連動したとても効果的な活用法だったのではないでしょうか。
統括
2024年4月放映のテレビCMは、「マクドナルド」を取り上げて解説しました。テレビを”ながら視聴”するユーザーが増えている近年では、CM放映前後に商品やサービスが検索された数・割合を知ることで、世の中のトレンドや関心度が伺えます。ノバセルでは、今後も視聴者が実際に行動(指名検索)したテレビCMにスポットを当て、より詳しいクリエイティブ分析・業種ごとのランキングといったマーケティング情報を公開してまいります。