ノバセルがマーケティングの効果の重要指標としている「指名検索」。CM放映の前後数分間に増えた指名検索数をCMの放映量で割ったスコアを「指名検索スコア」と定義し、理論上はこのスコアが高いほどCMによってブランド名がより効果的に検索されたと計測しています。
あらゆるテレビCMの指名検索スコアが可視化できる「ノバセル トレンド」を用いて、2025年8月の「酒類・ドリンク編(*)」における指名検索スコア順テレビCMランキングの上位5位をご紹介します。
(*)ノバセル トレンドによる業種分類に基づく
■ 酒類・ドリンク業界 CM指名検索スコアランキング TOP5
今回のランキングでは、2025年8月1日~8月31日の期間に放送されたテレビCMのうち、酒類・ドリンク業種に分類される(*)企業のCMにおいて、指名検索スコア上位5件と検索行動を促した訴求ポイントの考察などをご紹介します。
(*)ノバセル トレンドによる業種分類に基づく
1位:AB InBev Japan「コロナ セロ」
1位を獲得したのは、コロナセロのCMです。夕暮れの風景を背景に、ノンアルコールでも既存製品と変わらない爽快感を伝える映像です。脱アルコール製法によりコロナエキストラの味わいを再現し、ライムを添えて楽しむシーンが印象的。日没時間の演出と鮮やかな色彩が、リラックスしたひとときを強調しています。
(出所 ノンアルでも変わらないその味わい。いつでもあの爽快感をどこでも。2025/07/25 https://youtu.be/WWhYMqXVKrI?feature=shared)
2位:アサヒビール「アサヒスーパードライ」
アサヒスーパードライのCMが2位にランクイン。俳優・長澤まさみさんが登場し、飲食店で味わう“キンキンに冷えたスーパードライ”を家庭で楽しめることをアピール。専用タンブラーや立ち上る冷気で”冷たいビール”を視覚的に強調し、家庭でも飲食店クオリティが味わえるという贅沢な体験を伝えています。
(出所 アサヒスーパードライCM「家でも、キンキンDRY!」篇 15秒 2025/06/24 https://youtu.be/B8Y8A0GlJMM?feature=shared)
3位: キリンビバレッジ「生茶」
3位は生茶のCM。自然光や風、建物や木々などの穏やかな都市風景を背景に、モデル/俳優・出口夏希さんが街中で「きもちよさ」を感じながら過ごす様子を描いています。生茶を手にする瞬間の清々しさが印象的で、テーマ「きもちよさ、と生きていく」を表現。リニューアル後の上品なパッケージを見せながら、茶葉本来の味わいをぎゅっと詰め込み、洗練されたおいしさを伝えています。
(出所 キリン生茶「きもちよさ、と生きていく街」篇30秒 2025/09/09 https://youtu.be/e16hHCC-PrM?feature=shared)
4位:サントリー食品インターナショナル「伊右衛門」
伊右衛門のCMが4位を獲得。俳優・本木雅弘さんと上白石萌音さんが研究員に扮する”特茶研究所”を舞台に、日常的に歩く人々と特茶の「ケルセチンゴールド」が体脂肪を減らす効果をビジュアルで示す内容です。歩くことと特茶を飲むことを組み合わせる健康習慣を訴求。ナレーションやテロップで「歩く+特茶で、減るに差がつく」と明確に効能を提示し、自然光や街中の風景で歩く人を主役に実用性と親しみやすさを強調しています。
(出所 サントリー緑茶 伊右衛門 特茶『特茶研究所 歩いている人』篇 15秒 本木雅弘 上白石萌音 サントリーCM 2025/04/01 https://youtu.be/5dy5wu4wHNw?feature=shared)
5位:サントリー「-196」
5位はサントリー「-196」のCM。俳優/歌手・錦戸亮さんがシャインマスカット農家を訪れ、収穫を体験しながら「-196」シャインマスカットフレーバーの爽やかさと果実感を楽しむ様子を描きます。背景に「ジャングル大帝オープニング・テーマ」を使用し、活気ある雰囲気を演出。錦戸さんの自然な表情と演技で、製品の信頼感と親しみやすさを高めています。
(出所 -196『天晴れ!最高売上!シャインマスカット』篇15秒 2025/08/12 https://youtu.be/ELxtuyRpL8A?feature=shared)
2025年8月の業界別ランキングでは、「酒類・ドリンク業界(*)」で1位にランクインとなった「コロナセロ」のCMについて分析します。
【概要】
世界最大級のビール会社、アンハイザー・ブッシュ・インベブの日本法人である AB InBev Japan合同会社 は、グローバルな知見と革新性を活かし、「バドワイザー」「コロナ」「ステラ アルトワ」「ヒューガルデン」など多彩なブランドを展開し、日本市場においてプレミアムビールの魅力を広めています。
同社が展開する主力ブランドの一つ「コロナ・エキストラ」は、メキシコ発祥のプレミアムビールで、現在では世界180ヵ国以上で愛されています。爽快で軽やかな飲み口が特徴で、ライムを添えて飲むスタイルでも有名です。
そのノンアルコール版として誕生したのが「コロナセロ」で、2022年にカナダで発売されました。そして、満を持して2025年7月末に日本で初めて発売されました。
公式サイト
https://www.corona-extra.jp/coronacero/
※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT、 ノバセルトレンド
※エリア:関東
※期間は2025/5/1~2025/8/31
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない
※imp(単位:100万):「インテージ Media Gauge TV/エム・データ 全国CMマスタ」
「コロナセロ」と「コロナビール ノンアルコール」の検索数とCM放映量の相関を見てみると、「コロナセロ」は7月末のCM放映開始とともに検索数が急増し、その後8月にかけて微増。一方で、「コロナビール ノンアルコール」の検索数はCM放映量に比例し、8月にピークを迎えています。
「コロナセロ」は7月28日の全国発売に先駆けて、一部地域での先行販売やイベント開催が行われていたことから、具体的な商品名である「コロナセロ」を検索した人々は、より早い段階で商品を認知していたと考えられます。
◾️「コロナビール」共起キーワード
※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2025/8/1~2025/8/31
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない
8月に「コロナビール」と検索した人の共起キーワードでは、「国」や「ライム」に続き、「ノンアルコール」が4位に挙がっており、CM放映後に関心を持った人が増加したことがうかがえます。
※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2025/8/1~2025/8/31
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない
検索の男女比を見ると、「コロナセロ」を調べた人のうち男性が6割以上を占める一方で「コロナビール ノンアルコール」では男女比がほぼ半々となっています。
「コロナビール」全体の検索比率と比較すると、「コロナセロ」は男性の割合がより高くなり、「コロナビール ノンアルコール」では女性の割合が増加しています。「ノンアルビール」の検索では女性が6割以上を占めることから、ブランド初のノンアルコール商品に女性への影響が現れた一方、コロナビールの男性ファンには、具体的な商品名が強く認知されたことがわかります。
※出所:ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT
※エリア:全国
※期間は2025/8/1~2025/8/31
※指名検索数は推計値であり、Yahoo!検索での検索実数ではない
年代別の検索比率を見ると、「ノンアルビール」の検索は各年代に比較的均等に分散しているのに対し、「コロナセロ」は30〜40代、「コロナビール ノンアルコール」は40〜50代がそれぞれ全体の半数を占めています。
いずれも「コロナビール」の主要な検索層と重なりますが、「コロナセロ」では40代を中心に比較的若年層の伸びが目立ち、「コロナビール ノンアルコール」では50代を筆頭に中高年層での検索が際立っています。
昨今のノンアルコールビール人気の高まりとバリエーションの拡大を背景に、「コロナセロ」もその潮流に乗りつつ、海外プレミアムビールならではのブランドイメージによって、30〜60代にわたる幅広い“大人の消費者層”の心を捉えたと言えるでしょう。
2025年8月放映のテレビCMにおける「酒類・ドリンク業界(*)」のランキングでは、「コロナセロ」のCMを分析しました。
8月は、冷たい飲み物の需要が高まる夏の商戦において、ビールをはじめとするアルコール飲料やペットボトル飲料のCMが注目を集めました。その中でも、「コロナセロ」は日本初上陸という話題性もあって30代を中心に、男女を問わずノンアルコールでもプレミアム感を楽しみたい大人世代から大きな関心を集めました。
ノバセルでは今後も、視聴者が実際に行動(指名検索)したテレビCMに注目し、より詳細なクリエイティブ分析や業種別ランキングなどのマーケティング情報を提供してまいります。