効果検証を行い、売上を伸ばせるテレビCMをつくる
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※ 【宣伝会議ブレーン】 効果検証を行い、売上を伸ばせるテレビCM をつくる より転載
これまで大企業を中心に活用されてきたテレビCM。テレビ局の広告枠の販売手法の変化や技術の発展によりスタートアップ企業でも活用しやすい環境が整ってきた。そんな中、ラクスルとGOが新しいサービスを開始した。
スタートアップ企業がテレビCMを活用する理由
メルカリ、スマートニュース、CAMPFIREから、ラクスル、Sansan、ビズリーチといったBtoB企業まで、近年の多くのスタートアップ企業がテレビCMを活用したプロモーションを実施している。テレビでこうした企業の広告を見ない日はないと言っても過言ではない。
ラクスル 取締役/CMOの田部正樹さんはスタートアップ企業がテレビCMを活用する理由を次のように話す。「スタートアップの事業はこれまで世の中に存在しないカテゴリーのものがほとんどで、ビジネスのさらなる発展を見据えたとき、"自分たちが何者か"を世の中に伝えることが重要になってきます。その際に、多くの人に情報を届けることのできるテレビCMは実は非常に効果的なのです」。
ラクスル自身も5年前からテレビCMをはじめとする50億以上を投下したマーケティング戦略によって、昨年には上場するまで成長。メルカリなどのスタートアップもほぼ同時期からCMを有効活用して業績を伸ばしてきた。
そこで、ラクスルは同社が培ってきたノウハウは他の企業にも応用できるのではと考え、昨年1月から企業の成長をテレビCMによって支援するサービスをはじめた。そのラスクルの"ノウハウ"とは、効果検証を行いながら成果を上げる"運用型"のテレビCMだ。前職はインターネット広告会社にて運用で効果を出す仕事をしていたGO ビジネスプロデューサー/デジタルマーケティングマネージャー 岩本州司さんは「"なぜテレビCMは何十年も同じ仕組みで、Web広告のように運用しないのか"と疑問に感じていました」と話す。
ラスクルが効果測定のポイントに設定しているのは"効率的な売上"だ。「CMは大量に流せば認知を獲得できますが、スタートアップは限られた資本なので効率が重要です。効果検証の方法は、まずはCMを打った後にどれだけ検索数、セッション数、新規ユーザー獲得が伸びたか、アプリであればダウンロード数をチェックします。クリエイティブを複数種類制作し、ABテストを行い、エリアや日付、時間帯ごとに細かく分析していきます」。
また、効果検証を行ううえでは"事前の仮説"が重要になるという。「このターゲットにはこういう価値を届けると、どんな反応が起きるのか最初に仮説を設定してから取り組むことが大切です。なぜなら、仮説を軸にして検証をしなければ、次の一手が打てないからです」と田部さん。
同サービスは開始直後から、スタートアップはもちろん、大手中小問わずさまざまな企業から注目を集め、現在では実績も多数できている。しかし、サービスを展開する中で、クリエイティブを制作する前段のブランディングのコンセプトがない企業から相談を受けることもあった。
「テレビCMを安価に制作し、効果的に運用することは得意なラクスルですが、クリエイティブのベースが無く、企業の価値がまだ不明瞭な企業に対するサポートはこれまでできていませんでした。そこで、生活者に響くクライアントの魅力を引き出し、それをクリエイティブで表現、伝えることに強みをもっているGOさんと組むことがお互いに良いと考えたんです」と田部さん。
クライアントのトップと話し、その企業が本当にすべきことを見つける
ラスクルとGOが提携しスタートしたのが、テレビCMを活用したスタートアップの急速な成長を支援するマーケティングサービスだ。GOのコピーライター/クリエイティブディレクター 鶴見至善さんは、両社の関係を"効果と表現でがっちり握手ができる"と説明する。
「広告会社でテレビCMをつくってきた僕にとって、ラスクルさんはCMに対して検証という考え方をもち込んでいることが新鮮でした。これまでのCMはクライアントのオリエンが非常に重要で、ターゲットや戦略の設定が間違っていたらクリエイティブでどんなに頑張っても本来の目的を達成することは困難でした。でもこのサービスでは、クリエイターが何を伝えると生活者に響くかをクライアントと一緒になって考え、複数のクリエイティブを制作する。そして、どのクリエイティブが本当に効果的か検証します。これまでの代理店を"受け"とすると、このサービスでは"攻め"に変わった印象です」。
また、このサービスで成功するためには、クライアントとしっかりと向き合う環境づくりが重要だという。CM制作では、広告会社の営業がクライアントの担当者と話すことがほとんどだ。しかし、GOでは必ずクリエイターがフロントに立ち、クライアントのトップと話すと決めている。そうすることで、クリエイターがクライアントの本当の課題や目的を見つけ出したうえで、仮説やコンセプトが決めていくことができる。
田部さんも今回のサービスの"肝"はそこにあると考えている。「クリエイティブの最前線で活躍している人と直接話をし、一緒に価値をつくっていける機会は多くの経営者にとってはなかなかないものです。一流のクリエイティブディレクターは企業にとって最も大切なその企業がやらなくてはいけないことを見つけ出す能力が長けています。そういう人と話せるのはお金に換えられない価値があり、スタートアップが求めているものはそこにあると実感しています」。
鶴見さんは「テレビCMの新しい可能性が開けるプロジェクト」と期待を寄せている。「テレビCMは何10年と同じ枠組みで回っていました。そこに新たな方法を導入することで、閉塞感を打破できるのではないかと思います」。
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