視聴率ってそもそもなに?測定方法について徹底解説!
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よく話に上がる「視聴率」について徹底解説!
テレビなどでよく話題に上がる視聴率ですが、「視聴率って何?」と改めて聞かれると答えに詰まる人も多いのではないでしょうか。また「視聴率はどのように測られているか」疑問に思った人もいるでしょう。視聴率とはひとことでいうとテレビやCMが「どれくらいの人にみられているのか」を示す指標のことです。しかし一口に視聴率といっても実はさまざまな種類があります。この記事はそのような視聴率の種類やそもそもどのように視聴率を測定しているのかについて解説します。
視聴率とは「個人視聴率」「世帯視聴率」のこと!
視聴率には、大まかに世帯視聴率と個人視聴率の2種類があります。前者の世帯視聴率はテレビを持つ世帯のうち、何世帯がそのテレビ番組を見たかの割合を算出したものです。例えば、全国10,000世帯のうちの1,000世帯がその「A」というテレビ番組を見た場合、「A」の視聴率は10%になります。後者の個人視聴率とは、テレビを持つ世帯の総人口を計算し、そのうち何人がテレビ番組を見たかの割合を算出したものです。全国10,000世帯、30,000人のうち1,000人が「A」というテレビ番組を見た場合では個人視聴率は3.3%となります。このように世帯視聴率と個人視聴率の数値は異なり、一般的には世帯視聴率の数値が個人視聴率よりも高くなります。歴史的には1962年から世帯視聴率が調査され始め、1997年になって初めて個人視聴率が調査されるようになりました。最近「鬼滅の刃 無限列車編」が放送され、各メディアは平均視聴率を21.4%として報じました。ここで報じられているのは世帯視聴率の平均値です。しかし、近年では世帯視聴率ではなく、個人視聴率が重視されてきています。前述したように世帯視聴率は視聴した世帯を記録するため、実際に視聴した人数は分かりません。また、世帯視聴率ではどんな人が番組を視聴したかも分かりません。こうした課題を解決し、視聴率のデータの価値を高めるために個人視聴率が重視されてきています。
視聴率の測定方法について解説!
日本の視聴率の測り方
日本では「ビデオリサーチ」という調査会社が、長年に渡りテレビの視聴率調査を担ってきました。1962年に視聴率調査を開始して以降、調査対象を広げ様々な視聴率測定方法が編み出されています。関東や関西など大都市圏では多めの世帯数が調査対象とされ、逆に人口の少ない都市では少数の世帯が調査対象となっています。2021年10月より宮崎、山梨、福井、佐賀、徳島の5県が新たに調査対象に加わりました。現在では、全国32地区、10700世帯において視聴率を調査しています。(以下画像はビデオリサーチのサイトより引用:https://www.videor.co.jp/service/media-data/tvrating.html)
視聴率測定では、全国約5000万世帯のうち10000世帯とおおよそ0.02%のみが調査対象とされています。この方法で全国の視聴率を正しく把握出来るのでしょうか?答えは「統計的に正しく把握している」です。図からも分かりますが、各地から対象世帯をバランス良く選び、統計的検定という手法を用いて、視聴率調査の精度を確保しています。ただし、精度に多少の誤差は存在します。具体的な検定方法は統計学のテキストに譲りますが、直感的には「みそ汁の味見」を思い浮かべてください。みそ汁をかき混ぜて、一部を味見すると全体の味が分かります。これと似たように視聴率は統計学を用いて調査しているのです。)
様々な視聴率測定方法
A:ピープルメーターシステム方式
ピープルメータシステムを用いて個人視聴率を調査します。ピープルメータシステムでは、対象となる家庭に調査用のリモコンボタンが設置され、各人が番組を視聴する度に、自分用のボタンを押します。それにより、誰が、いつ、どの番組を視聴したかが記録され、個人視聴率が集計されます。ピープルメータは略してPMとも呼ばれます。
B:オンラインメータシステム
オンラインメータシステムは別名、機械式世帯視聴率調査の調査システムとも呼ばれます。このオンラインメータシステムを用いて世帯視聴率を調査します。対象となる家庭のテレビに測定機器が設置され、該当時間帯にどの番組が見られたかが記録されます。この記録を通して世帯視聴率が集計されます。
C:日記式アンケート
日記式アンケートを用いて個人視聴率を調査します。調査員が調査票を対象家庭に配布し、対象者がテレビの視聴記録を記入します。調査票には5分刻みの記入欄があり、対象者は1週間毎日の視聴番組を記入します。ここから個人視聴率を集計します。まとめるとピープルメータシステムとオンラインメータシステムは機械式の視聴率測定方法です。一方で日記式アンケートは手動での測定方法になります。また、ピープルメータシステムと日記式アンケートは個人視聴率の測定を目的とした測定方法ですが、オンラインメータシステムは世帯視聴率を計測するための測定方法です。
その他の視聴率の種類について紹介!
①リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率
リアルタイム視聴率とは、文字通り番組の放送時間帯中にリアルタイムで視聴した割合のことです。一方で、タイムシフト視聴率とは、番組を7日以内に視聴した割合を計測したものです。これにはリアルタイム視聴も含まれます。近年は番組をリアルタイムで見れない場合には録画をして後で見るなど視聴方法が多様化しました。こうしたテレビ視聴の実態を掴むために新しい指標が考案されているのです。
先ほど挙げた「鬼滅の刃 無限列車編」の平均視聴率21.4%はリアルタイムの平均世帯視聴率を指します。一般的にメディアで視聴率が取り上げられる際には、このリアルタイムの数値が取り上げられます。
②瞬間最高視聴率と平均視聴率
視聴率は分ごとに記録されています。そのため、瞬間視聴率とは分ごとの視聴率のことであり、「瞬間最高視聴率」とは最も高かった分刻みでの視聴率になります。また、「平均視聴率」とは毎分の視聴率を平均したものになります。
③ゴールデン視聴率と全日視聴率
深夜帯の番組が人気になったことで、ゴールデンタイムへと移行したというニュースを聞いたことはありませんか?このゴールデンタイムとは正確にはどの時間帯を指すのでしょうか?ゴールデンタイムとは午後7時から午後10時までの時間帯のことを指します。これは午後7時から午後10時までの時間帯で一番多くの人がテレビを見ることから、この時間帯の視聴率はゴールデン視聴率と称されています。また類似の用語としてはプライムタイムと呼ばれる時間帯が存在し、これは午後7時から午後11時までの時間帯を指します。ゴールデンタイムとプライムタイムを区分けする背景には視聴者層の違いがあります。ゴールデンタイムは家族とその子供がお茶の間でテレビを見る時間帯と考えられます。そのため、子供向けのアニメや家族で一緒に見れるバラエティー番組などが放送されています。一方でプライムタイムはゴールデンタイムに1時間付け加え、大人が中心に見る時間帯までを計測しています。午後9時から午後11時までの遅めの時間帯ではニュース番組など大人向けの番組が放送されます。さらに全日視聴率も重要な指標とされています。全日視聴率とは午前6時から深夜12時までの18時帯の視聴率を指します。ここまでに挙げたゴールデン視聴率、プライム視聴率、全日視聴率はいずれもテレビ局にとって大事な指標です。この3つの視聴率全てで1位を獲得した民法テレビ局のことを三冠王と呼びます。近年は日本テレビが隆盛を誇り、10年間連続で視聴率の三冠王を獲得しています。
④F1視聴率
本記事では冒頭で個人視聴率を紹介しました。その個人視聴率は正確には個人全体視聴率のことを指します。個人全体視聴率はF1視聴率に細分できます。皆さんはF1, M1といった単語を聞いたことがあるでしょうか?ここでFとはFemale、女性のことを指し、MとはMale、男性のことを指します。また1は20~34歳、2は35~49歳、3は50歳以上のことを指します。つまり、F1とは20~34歳の女性のことを指しています。F1視聴率とはF1セグメント総人口の中で何人が番組を視聴していたかの割合のことを指します。例えば、F1セグメント全体で1000万人いたときに、F1層で10万人がテレビ番組「A」を見ていたとすると、F1視聴率は10%となります。同じようにF2, F3, M1, M2, M3ごとの個人視聴率も存在し、全てを加算して個人全体視聴率とされています。
BSの視聴率は計測できない!?理由について解説
本記事ではここまで地上波の視聴率を解説してきました。BSやCSの視聴率はどうなの?と気になる人も多いのではないでしょうか。実はBSやCSの視聴率はほとんど発表されていません。これはひとえにBS・CS放送が普及していないことが背景にあります。まずBS・CS放送ではアンテナ、チューナー、B-CASカードといった設備が必要になります。またCSは入会して、お金を支払う必要があります。このためBS・CSを見る人は少なく、視聴率を計測しても、有益とは言えないのが実情です。ただし、2020年3月よりBS放送の視聴率調査の方法は変わり、全国10000世帯を対象とした調査が始まりました。今後はBSの視聴率も一般化するのかもしれないですね。
まとめ
本記事では視聴率の測定方法から、視聴率の種類を紹介してきました。普段ニュースでよく耳にする視聴率、みなさんはどこまで理解していたでしょうか?日本で視聴率計測が始まってから半世紀以上が経ちました。個人視聴率、ピープルメータシステム、タイムシフト視聴率など、テレビの視聴の変化に仕方に応じて、視聴率計測の手法が変わり、視聴率の種類も多様化しています。これからも視聴率の進化には注目です。