認知度7.4%から会員数40万人を 突破するまでのサービスに。成長速度を加速させたのは目的志向で作ったテレビCM

認知度7.4%から会員数40万人を 突破するまでのサービスに。成長速度を加速させたのは目的志向で作ったテレビCM

指名検索・セッション数と同時に業績も成長

―― 2019年に入り、御社を急激に業績を伸ばされています。テレビCMは御社の成長にどのように寄与しましたか?

井下さん「当社は2018年まで、デジタル・マーケティングでPDCAを回しながら事業を進めてきました。その中で見えてきた仮説が、「指名検索が増えれば事業成長につながる」というものです。当時、認知度に関する調査を行ったところ、サービス名を伝えた上で「リネット」を「知っている」と回答した人は、わずか7.4%でした。助成想起のアンケートでこの数値ですから、純粋想起、つまりサービス名を伏せてしまうと認知率はさらに低かった。インターネットを使った宅配クリーニングというサービスそのものの認知もまだまだという中で、「リネット」の一般認知を拡大するためにはどうしたらいいのかーーたどり着いた答えが、テレビCMだったのです。

CMを本格的に放映してからは、放映した分だけ指名検索が増え、セッション数も増加。同時に業績も伸びました。仮説が実証されたことで、自分たちが導き出した戦略を信じて進めることができるようになりました。」

日吉さん「マーケティングを担当する現場の視点からは、テレビCM放映後の変化は2つありました。まず社外については、アライアンス先のお客様に「テレビCMを放映できる会社」であるという、ポジティブな印象を持っていただくことができたことです。提携しているクリーニング工場の皆さんにとっても、「テレビCMを流している会社の仕事をしている」という誇りにつながったと感じます。また、社内については、ただテレビCMが流れたというだけでなく、実際に新規のお客様の獲得につながったことで、士気も上がり、雰囲気がとても明るくなりました。」

戦略が正しくても戦術が間違っていれば失敗する。

―― そもそも、そうした重要な局面で、ラクスルのテレビCMサービスを利用したきっかけ、また次のCMの制作も「ノバセル」に決めた理由を教えてください。

井下さん「最初のテレビCMの制作を進めるにあたって、テレビCMを放映したことのある企業にヒアリングをしました。戦略が正しくても戦術が間違っていれば失敗する可能性がある。だからこそ、最適な戦術、つまり最適なCMのコミュニケーションプランを導き出す必要があるだろうと考えていたからです。そのためには、デジタル・マーケティング同様に、小額で検証とチューニングを繰り返して進めていきたい。ヒアリングの結果、それが実現できるのは、自社での成功体験を持っている事業会社であるラクスルさんのテレビCMサービスだけだろうと判断し、依頼するに至ったのです。

「ノバセル」を再び利用しようと考えた理由は、3つあります。

ひとつは、当然ながら最初のCM放映で効果が得られたこと。

そしてもうひとつは、その際に作ったCMに劣化がなかったことです。事前ヒアリングの際に、「同じCMを流し続けると効果が弱まっていく」という話を耳にしましたが、我々の場合は自分たちの訴求ポイントにあった最適な打ち出しという勝ち筋が確立できていたため、長期で効果が発揮できるものになったのではないかと感じています。とはいえ、もちろん初回から大きな効果が得られたわけではありません。最初の放映後にクリエイティブ以外の部分、CMの効果を上げるための放映時間やフォローアップの方法なども細かくチューニングをかけていったことで、納得のいく結果が出たはずです。

「ノバセル」となら、そうやって積み上げてきたものがある。継続して続けていくことで、前回との差分をつくりにいく上で、議論がしやすいと感じたことが、3つめの理由です。」

訴求軸の絞り込みは、知見・データ・具体事例が重要。

日吉さん 「今回のCM作りでは、まず訴求軸の案を20、30個出すところから始まり、最終的に8つのクリエイティブに落とし込みました。そこに至るまでには、田部さん(ノバセル株式会社代表取締役社長 / 兼ラクスル株式会社 取締役CMO)の知見やデータ、具体的な事例などがとても重要だったと感じています。田部さんのマーケティング施策によって事業成長を遂げてきたラクスル社全体はもちろん、新たに始まったノバセル事業も好調で、業績も伸びていらっしゃるので、それらで見えてきた知見を共有いただきながら、並走いただけたのは大きなメリットでした。」

ノバセルは目的思考。顧客の成長に本気。

井下さん 「実は私たちは、ラクスルさんと出会う前の2014年にもテレビCMに挑戦しているんです。ただ、当時の自分たちのステージには見合わないことをしてしまったと反省しています。テレビCMは成長の手段ですから、適切に使えなければ意味がありません。本当に今打つべきなのか、このクリエイティブは効果があるのか、目的思考で検討していく必要がありました。その点で、田部さんはこれまでの知見から、我々が「この手段は目的にあっているだろうか」と相談すると、たとえラクスルさんへの発注金額が少なくなるようなことであっても「それならやらないほうがいいですね」とはっきり言ってくださいます。制作会社や代理店の立場からすれば、効果に疑問があったとしてもそのまま放映してしまう、ということもできると思うんです。でも、「ノバセル」の皆さんは顧客の成長が自社の成長だと本気で考え、同じ目的に向かって進んでくれました。そうした姿勢を、とても信頼しています。

日吉さん 「今回のCMでは当初、タレントさんの起用を考えていました。実際に芸能事務所にも交渉していただいていたんですが、途中で「やめたほうがいいのではないか」と感じてしまいまして。その思いを伝えたところ、「それならやめましょう」と即答してくださったんです。常に目的を優先してもらえるのは、心強いですね。

検証で指名検索数が約3倍上昇するクリエイティブを発見。

―― 今後は、どのようにテレビCMを展開される予定ですか?

井下さん「認知拡大、指名検索を増やすためには、CMを打つタイミングとして、クリーニング需要の高まる春と秋が最適だろうと考えています。そのため、昨年から今年にかけて制作してきた8つのクリエイティブのうち4つについては、春のタイミングに向けて、3月にテストを実施しました。指名検索数の上昇率は4つで大きく異なり、イマイチだったものを1とすると、一番効果があったものはその3.3倍もの反応を得られています。この一番よかったものを勝ちパターンとして4月以降に放映しましたので、まずはその効果をこれから検証していく予定です。そして今後は訴求軸を変え、残っている4パターンについても試していきたいと考えています。回を重ねてきたことで、15秒という短い枠の中でも自分たちが伝えたいことをしっかり訴求できることもわかってきましたので、今後はその知見を生かして、WEB動画などにも力を入れていきたいですね。」

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