購買行動の変化と、全世代デジタルシフトの時代。最小の予算で最大の効果創出にMMMで挑戦
メディアの多様化における予算投資配分の最適解を求めて
熊本県益城町に本社・工場をもつ製薬会社「再春館製薬所」。1932年、生薬製剤「痛散湯」で創業し、1974年には年齢肌専用の基礎化粧品「ドモホルンリンクル」が誕生しました。2024年に50周年を迎えるドモホルンリンクルは、電話を中心としたダイレクトマーケティングシステムで成長。テレビコマーシャルから「無料お試しセット」を電話で申し込むというスタイルも生まれ、以来テレビを主とするマスマーケティングで新規獲得に取り組んできた会社です。
多額の予算を必要とするテレビCMをはじめ、新聞や同封同梱媒体、オンライン広告など、新規獲得マーケティングにおいていろいろな投資先をもつ同社。テレビCMにプラス投資するのか、あるいはマイナスか、オンライン領域の強化は必要なのかといった判断において、統計とロジックによる適切な予算配分を図ることは経営層にとっても大きな関心事です。
ドモホルンリンクル事業部間口事業 部長 松嶋大和氏は、ノバセルMMM(マーケティングミックスモデリング)導入の背景について、「目指すのは最小の予算で最大の効果を上げること。予算投資をするにあたり、その成果がしっかりと測れるものさしが必要でした。新規獲得に向けて、媒体価値の適正な評価と予算投資配分の最適解を求めていたのです」と話します。
2018年にも、同社は他のマーケティング会社で1年半ほどMMM分析に取り組んだ経験があります。その結果は自分たちの肌感に添うものでしたが、費用面を考慮すると契約継続には至りませんでした。その後、既に10数年前から徐々に起きていましたが、コロナ禍もあり加速度的に人々の購買行動はガラリと変化することに。
「マスからスモールマスへと市場の価値観が多様化し、100人100通りのカスタマージャーニーがあるなら、もっと解像度を上げた分析が必要だと感じるようになりました」(松嶋氏)
媒体の価値評価においても、新聞・テレビは高齢層、オンライン領域は比較的若い層に効果があるというのが定説でしたが、今やそうとも言い切れません。以前はテレビCMの1オンエアで100件を超える電話がありましたが、最近ではそうしたダイレクトな反応は少なくなっている、あるいは見えにくくなっているのが現状です。
「60〜70代のお客様もデジタルへの反応がみられるようになり、全年代でデジタルシフトが加速しています。媒体価値や購買行動が目まぐるしく変化するなか、『中間指標を入れて分析を回すことで行動の中間因子を可視化する』ことと、多段階の分析モデルをご提案をいただいたことでノバセルさんのMMM実施を決めました」(松嶋氏)
スピード感あるプロジェクトで、残存効果の可視化にも挑戦
目標は「ドモホルンリンクルの新規顧客獲得における、媒体価値の適正な判断と予算投資の最適化」。2024年5月に契約を交わし、6月にはMMMを実施するというタイトなスケジュールで行われました。それにも関わらず「期待値を超えるアウトプットだった」と松嶋氏は高く評価しています。
「メディアにおける『残存効果』についてアウトプットを打診したところ、残存期間を踏まえた効果の可視化に取り組んでくださいました」(松嶋氏)
残存効果とは、広告やCMを視聴した後に消費者の記憶に残って行動に影響を及ぼす効果のこと。広告を見たからといって人はすぐに購買行動に移すわけではありません。メディアにおいて複数回広告に接触し、スマホ検索等の行動をした上で、ようやく購入につながるということは往々にしてあります。
「残存期間も踏まえた効果の可視化が得られたことで、広告運用のPDCAを回す時間軸が設定でき、プランニングしやすくなりました」(松嶋氏)
結果に違和感があると感じたときは松嶋氏から伝え、ノバセル側が調整に対応することも。追加のデータ等を提供する再春館製薬所もレスポンスが早く、お互いに高い意識で協業できたことで、期日通りのスピーディーなプロジェクト遂行が実現しました。
スピードも、品質も。高い意識で協業できるパートナーへ
人々の行動変容を進化のタイミングと捉え、ドモホルンリンクルの成長を支えてきたマス広告の枠を超えて、デジタル展開にも力をいれている再春館製薬所。今回のノバセルMMMにおいて「WEB動画が指名検索のリフトアップに繋がっている」という結果を受け、新たな取り組みもスタートしています。
「テレビに比べて投資金額は小さくても、一定の効果を生んでいそうだという示唆に着目しました。WEB動画には伸び代がありそうだと感じ、早速拡大の為の検証に取り組んでいます」(松嶋氏)
さらに、SNS領域における取組などに対しても積極的で、「直接的な売上げの起因が見えづらい分野だからと言って取り組まないというのは、今の生活者の購買行動を踏まえると相反する話だと思います。間接的な効果をしっかりと可視化できれば、プロジェクトの継続と新しい世代に対する存在感の獲得にもつながっていくはずです」と、続けます。
指名検索数を上げていくことがビジネスの成長につながることも見えてきているそうで、「指名検索数を増やしていくにはどんな新しい因子が必要なのか。次回のMMM実施では、そこを科学していきたい」と意欲を示す松嶋氏。
『スピードも品質』として、速い速度でも真摯にプロジェクトに向き合うノバセルと、それを凌駕するほどのスピード感でMMM分析に取り組む再春館製薬所。「これからも総合的に品質を高める努力をお互いが怠らず、より精度高いアウトプットを提供し合える協業パートナーでありたいです」という松嶋氏の言葉から、ノバセルへの期待の高さがうかがえました。