「ブランディングとレスポンスの両立は可能」。SmartHRがノバセル トレンドの導入で改めて確信したテレビCMの“勝ちパターン”

「ブランディングとレスポンスの両立は可能」。SmartHRがノバセル トレンドの導入で改めて確信したテレビCMの“勝ちパターン”

株式会社SmartHR マーケティンググループ ブランドマーケティングユニット 岡部南海子様

2種類のCMによる行動変容の差を指名検索スコアで測定

―― まず、テレビCMの効果測定にノバセルトレンドを導入したきっかけから教えてください。

当社は、2017年からテレビCMの放映をはじめました。当初は「SmartHR」の機能訴求に特化し、見込み顧客の獲得を目的にしたCMがメインでしたが、近年では機能訴求にとどまらず、木梨憲武さんや伊藤淳史さん、松本穂香さんにご出演いただいたブランディングを目的とした情緒的価値を訴求するCMへと変化しています。

また、今年になってお笑い芸人の錦鯉さんを起用した人材マネジメント機能を訴求する新しいCMを2種類制作したこともあり、どのような訴求がより関心をもってもらえるかを検証するためのツールとしてノバセルトレンドを導入しました。

―― ノバセルトレンドをお使いいただいたのは今回が初めてですが、これまでCMの効果測定はどのようにおこなっていたのでしょうか?

調査会社によるアンケート調査の結果や注視度(テレビの前に人が滞在している際に、どれくらいテレビ画面に人の顔が向いているかの度合いを示す値)で評価をしていました。その方法に不満があったわけではないのですが、不足していると感じる部分がありました。

たとえば今回のようにセリフ違いの素材による効果を比較するときに、注視度を見ることでどちらが視聴者の興味を惹いたのかを測ることはできるものの、どちらがより実際のアクションにつながったのかまでは追えないため、KPIへの影響を測る方法を探していました。

新クリエイティブは2種類ともに「SmartHR」の人材マネジメントに関する具体的な機能やメリットをコント形式でご紹介する内容で、全体的な印象として大きな違いはありません。セリフの違いくらいの差異だとアンケート調査でも大きな変化が出ないことも予想できたので、ならば今回は指名検索スコアが適切な指標になるかもしれないと考えたわけです。

他社の事例から、自社の相対的な立ち位置を確認

―― 実際に分析結果をご覧になった印象はいかがでした?

私たちの目論見通り、本来のねらいだった素材ごとの効果が指名検索スコアにはっきりと表れていましたし、類似サービスの他社との素材比較にも学ぶべき点が多かったですね。今回のCMでは、ブランディングよりも具体的な機能訴求をしてレスポンスにつなげる狙いがありました。注視度では高い評価を得ていたものの、ノバセルトレンドで見たレスポンスでは、同様の競合他社さんのCMになかなか追いつけていないことがわかったのです。

これまで注視度を参考にしていたが、指名検索スコアを見たことで別の観点で気づきがあったという

そこで数字をもとに原因を分析したところ、CMの訴求内容に問題があったというよりも、そもそもクリエイティブの演出に無理があったのではないかという仮説が浮かび上がってきました。具体的には、情報を詰め込みすぎたのがひとつ。他社の事例を見ると、あまり情報を詰め込まないシンプルな内容の素材が多かったんですね。

また、他社の素材のなかにはサービスの機能をわかりやすく表現したグラフィックを挿入しているCMもありましたが、当社はそうしたことはやらなかった。いろいろと検討した結果、やらない判断をした経緯があったのですが、レスポンスにつながらなかった背景がそこにあったのかもしれないと分析しています。

―― そのほか、ノバセルトレンドの分析結果からわかったことはありますか?

じつは今回、錦鯉さんを起用した新しいCMだけでなく、並行してテレビ放映中の木梨憲武さんや松本穂香さんを起用した「社員に、いい。」シリーズのCMについても分析していただきました。

「社員に、いい。」シリーズは、SmartHRの導入によって働きやすくなった従業員の姿を描くショートムービ仕立てのCMで、機能訴求やレスポンスの獲得よりもブランディングに重きを置いています。その「社員に、いい。」の指名検索スコアが錦鯉さんのCMを上回る伸びをみせており、他社のCMと比べても高い水準だったことには率直に驚きました。

サービス自体への関心だけではなく、CMやタレントへの関心から指名検索につながった部分もおそらく一定数ありますが、それを踏まえても高い水準だったと考えます。

一般的に、ブランディングに重きを置いたCMは、購買行動や検索行動などの直接的なレスポンスにはすぐにつながりづらいイメージがあると思います。けれども実際には、CM放映直後の検索行動が伸びている。おそらく情緒的な価値を訴求することにより認知だけでなく共感や好感が生まれ、具体的なアクションにつながったのでしょう。つまり、ブランディングとレスポンスは両立できるのです。

ブランディングとレスポンスは両立できると分かった、と語る岡部さん

私たちとしてはそのつもりで戦略を立てていたわけですが、効果が指名検索スコアというかたちで可視化されたことにより、情緒価値の訴求が当社の「勝ちパターン」のひとつであると改めて確信を得ることができました。

分析結果で得た確信や気づきを次回CM制作の糧へ

―― そのようにして分析結果で得た確信や気づきは、今後のCM制作に影響を与えるでしょうか?

与えると思います。ただ先ほど申し上げた「勝ちパターン」を今後もずっとつづけるのかというとそうではなく、当然ながら目的によって戦略や手段は変わってきます。

―― それでは最後に、今後ノバセルと取り組みたい課題や、ノバセルトレンドに期待することがあれば教えてください。

当社が展開するようなBtoBサービスは、BtoCサービスや製品と比較すると、CM放映後すぐには効果がみられず、リードタイムが生じるケースがほとんどです。ノバセルトレンドはテレビCM放送直後の3分間で増加した検索数をCMの効果と定義していますが、BtoBサービスの性質を鑑み、CM直後のリストアップだけではなく少し時間を置いてからのリストアップも対象にすると、より精緻度の高い効果測定につながるのではないかと考えています。

具体的には、CMを放映してから1週間くらいのスパンで指名検索数の増減を追うことができると得られるものはさらに大きくなるでしょうし、個人的にもぜひ見てみたいですね。このようにBtoBサービスならではのテレビCMにおける効果測定のスキームをうまく構築していけたらと思っています。

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