YouTube広告で指名検索を向上、エン・ジャパンが挑むデジタルマーケティングの新潮流

YouTube広告で指名検索を向上、エン・ジャパンが挑むデジタルマーケティングの新潮流

 2000年の設立以来、求人情報サイトの運営を中心に事業を展開しているエン・ジャパン株式会社。総合求人サイト「エンゲージ」、若手ハイキャリアのためのスカウト転職サービス「AMBI」、ミドル世代向けのスカウト転職サービス「ミドルの転職」など複数ブランドを運営し、企業と求職者のより良いマッチングをサポートしています。

同社は2017年からインハウスマーケティングによる運用型広告への取り組みを強化していますが、競合他社との差別化のためには日々さらなる戦略が必要となっています。

というのも、求人サイトは既に競合大手が大規模広告やテレビCMを展開し、純粋想起の上位にひしめく市場。エン・ジャパンで長年マーケティング戦略に携わる執行役員マーケティング本部長の田中奏真氏は「大手と比べると予算が限られている当社が純粋想起を高めるには、局地戦が必須です。従来と異なるアプローチを考えたとき、YouTube広告による指名検索獲得を指標に据えたいと考えました」と振り返ります。

 

田中氏は、「配信ロジックや設計、クリエイティブの組み合わせによっては数十倍もの成果を上げられる可能性がある」として、YouTube広告の強化に注目。そのパートナーとしてノバセルを選択した理由は、ノバセルCEO田部正樹の著書による影響が大きいといいます。

「本に書かれている施策をエン・ジャパンが取り入れることで、どういった結果が得られるのか。社内でも賛同があり、指名検索獲得を目的とするならば、その重要性を知るノバセルと一緒に取り組むことで成長スピードを高められると期待しました」(田中氏)

エン・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長
田中 奏真 氏

3つのブランドでYouTube広告の効果を検証

今回の施策では「ミドルの転職」「AMBI」「エンゲージ」の3ブランドにおいて、異なるアプローチで指名検索数向上効果を分析しました。

 

まず「ミドルの転職」では、40代の転職における悩みや不安に寄り添う「40代の可能性が、全部ある。」というメッセージを訴求したクリエイティブを制作。それをもとに、リーチ最大化とコンバージョン最大化のメニューにおける成果の違いを検証しました。この違いは過去のデータや一般論では簡単に定言できないことが多く、自社のブランドに関して必要なデータを取得できたことは大きかったと言います。

田中氏はデータ取得に加えて、クリエイティブ選定のプロセスにも満足できたとし「初期の提案では、インサイトに沿った10本以上のコピー候補を提示されました。同世代でもある自分の所感との相違に驚きはあったものの、事前調査として各コピーの感触をデータで取っていたため、納得した上で選ぶことができました」と話します。マーケターとしての直感にただ頼るだけでなく、目的に応じてデータをきちんと優先し、意思決定することの重要性を実感したといいます

クリエイティブによって、指名検索数に1.3倍の差が

 一方、若手ハイキャリアユーザーを対象とした「AMBI」は、ワンカット動画を制作。冒頭のセリフが異なる6バージョンを用いて、クリエイティブごとのリーチ差を検証しました。

「6パターンを比較した結果、一言セリフが違うだけで指名検索数に最大1.3倍の差が出たんです。ユーザーに届く言葉を事前に精査・リサーチしなければ、大きな効果差が出てしまう。このプロセスがなかったらと思うと、危機感さえ感じました」(田中氏)

エン・ジャパンにとって初の試みとなったデジタルの指名検索施策ですが、田中氏は最大の収穫として「指名検索獲得単価を明確に数字で出せたこと」を挙げています。さらに残存効果を加味した数字や、フリークエンシーごとの指名検索率、態度変容率についての検証データなども取得できたことで、今後の意思決定やPDCAを回すための土台が得られたと話します。

 

また、複数ブランドを同時進行で検証することにより、各施策で得られた結果を双方に反映できるのも利点だったとし、そこから総合求人サイト「エンゲージ」の施策では、テレビCMで積み上がった純粋想起をYouTubeで確実に事業数字に繋げることを目指しました。テレビでのマス向けの戦略とWEB媒体の獲得型広告の間に4つの「スモールマス」を定義し、YouTubeでクリエイティブ別の効果検証を行うことで、指名検索獲得への新たなシナジーを狙っています。

取得したデータをもとに最適なPDCAサイクルを確立

 テレビなどのマスメディアだけでなく、デジタル領域もまた、クッキーレス時代といった逆境での変化が求められる中「しっかり向き合ってPDCAを回せば、デジタル広告は成長の余地がある」と、可能性を見据える田中氏。ノバセルとの一連の施策を通じて「デジタルで指名検索を上げる取り組みを増やしていきたい」と、さらなる意欲を示します。

 

「運用型テレビCMだけでなく、データ分析、ユーザーインサイトに合わせたクリエイティブ制作など、デジタルにおいてもノバセルは強みを持っているスペシャリストだと感じました。今後も共にデジタル領域における検証を続けていきたいと考えています」(田中氏)

 

「広告運用で得られた情報はプロダクト改善にも活用可能です。良いコンテンツを作って、事業も成長させる。広告運用とプロダクト改善を両立することで、デジタル広告にはまだまだユーザーの人生をよりハッピーにできるポテンシャルがあると思います」と語る田中氏の視線には、マーケティングを通したエン・ジャパンの事業成長、社会貢献へのロードマップが見えています。

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