「段ボールと言えばダンボールワン」を想起させるために——スタートアップに必要な「業界内の絶対的ポジション」の鍵は運用型テレビCM

「段ボールと言えばダンボールワン」を想起させるために——スタートアップに必要な「業界内の絶対的ポジション」の鍵は運用型テレビCM

「テレビCMが事業成長の突破口になるかもしれない」

―― 辻様が能登紙器の社長に就任されたのが2016年(当時のオーナーから自社買収し、社名をダンボールワンに変更したのが2017年)です。2015年から2020年の5年間で売上高は10倍、現在も200%に近い成長を続けられていらっしゃいます。そんな御社が2020年2月のタイミングでテレビCMに踏み切った経緯を教えてください。

「私たちはこれまで、デジタルマーケティングで事業を成長させてきました。ただ、年々オンラインショッピングやフリマアプリなどの成長と共に需要が伸びていたものの、デジタル施策の限界も感じるようになっていたんです。

そもそも段ボールや梱包材って、『この段ボール素敵!』『この梱包材好き!』と思って買うことはなかなかないですよね。皆さん、購入いただく商品を梱包するための資材として、必要だから購入するんです。だからこそ、ネットで購入する際には固有名詞ではなく、『段ボール』や『梱包材』『パッケージ』などで検索して、価格や自分の都合にあったサイズかどうかなどを比較する。そうなると、デジタル広告では安さやサイズの豊富さなど、商品の特徴をアピールすることが重要となり、『ダンボールワン』というサービス名の認知が思うように伸びませんでした。成長率でいうと、検索数が鈍化してきてしまっていたんです。

例えば『ネット印刷ならラクスル』のように、『段ボールのネット通販ならダンボールワン』という、業界内での圧倒的な認知度を獲得するためには、テレビCMが突破口となるかもしれない。次の成長に向けた施策としてそう考えたことが、放映に踏み切った理由です。」

「ラクスル自身がテレビCMで成長、それが信頼になった」

―― なぜノバセルでテレビCMの制作・放映を依頼しようと思われた理由を教えてください

「第1に、認知を広げる手段としてテレビCMを選んだのが、ラクスルさん自身の成功事例を見たからなんです。僕が能登紙器に入社した2005年当時は、会社にパソコンすらない状況でした。

まさにゼロからネット事業を起こして、他業界の成功事例を学びながら通販サイトや自動見積もりシステムなど作り上げてきたんです。手探りで事業の運営をする中で、そのビジネスモデルを常に参考にしてきた会社のひとつがラクスルでした。

特に、我々が獲得したいユーザーは、法人のお客様です。テレビを観ている方の中には、当然段ボールを必要としている法人の方もいるでしょう。しかし、それまでBtoB向けのテレビCMはほとんどなかったので、費用対効果を考えた時に、なかなか踏み切れない部分がありました。その点、ラクスルさんはそれを自ら成功させている。正直なところ、ほかの広告代理店さんから提案を受けてはいたのですが、『で、それだけお金をかけてコンバージョン(売り上げ)はどれくらい上がるの?』という、肝心なテレビCM効果の部分がまったく見えなかった。WEB広告では当たり前になっている効果の可視化ができないことは不安ですよね。

私としては自社の実績もあり、効果の可視化を強みとするラクスルさんにお願いするという選択肢しかなく、こちらから問い合わせをさせていただきました。」

「テレビCMで売り上げが倍増、企業の信頼度も向上した」

―― 実際にテレビCMを放映されてみて、効果はいかがでしたでしょうか?

「最初のCMはお試しで、福岡で放映しました。当初、放映価格の手頃さから石川・富山での放映をご提案いただいたのですが、私たちの会社は本社が石川なので、地元では認知度もあり、正しい効果検証がしにくいと考えたためです。そしてこの初回の放映は、想像以上の効果がありました。ちょうど放映が始まってすぐの3月に新型コロナウイルスの感染拡大によってオンラインショッピングの需要が急速に伸びたこともあり、テレビCMを流した福岡では、指名検索が倍以上に増えたんです。

また、WEB広告の場合、表示されたその時クリックしない限り、後々になってその広告がきっかけで再度検索したという方はほとんどいないのですが、2月に福岡でテレビCMを観たという方が、その時のCMから『ダンボールワン』を記憶していて、半年後に購入してくださったということがありました。認知の残存期間が長いことも、テレビCMならではの効果と実感しています。おかげで売り上げは倍増しました。

また、2020年7月には、第二弾として石川・富山での放送も実施しました。この時は、テレビCM放映後に指名検索が伸びてCPAが下がり、同時に回していたWEB広告のCTRも上がりました。加えて、地元での放送だったこともあり、社内の士気が高まりましたし、その後の採用で、『テレビCMを観て応募した』と言ってくれる人もいました。地元では40年以上の企業ですが、採用試験を受ける際に『テレビCMをやっている会社』ということがご両親を安心させる材料になったと聞いて、CMが『企業の信頼度』を上げることにつながるのだということも実感しましたね」

「上流のマーケティング戦略からパートナーとして伴走してくれる」

―― CMの制作・放映・効果測定までを通して、「ノバセル」を選んでよかったと感じたことはありますか?

「WEB広告を含めて、認知系の広告を作るのは初めてだったんです。そのため、事前にお客さんにアンケートを取るところから始めましょうとご提案いただいたのですが、これまで使ってくださっている人たちに対して『なぜ使ってくれているのか』を聞くことはあっても、使わない人たちに対して『なぜ使わないのか?』を尋ねることはしていませんでした。これはテレビCMを作るということだけでなく、今後の事業にもプラスになる発見がたくさんありました。

また、利用してくださっている人たちの回答から、『安さ』だけでなく『送料無料』が大きな要因になっていることもわかり、以降のWEB広告では『送料無料』を大きく打ち出すようにもしています。お客様の声に耳を傾けてきていたつもりでしたが、テレビCMの制作を通して、まだまだ解像度が引くかったことに気づかされました。

ノバセルアナリティクスですぐに効果測定ができるという点は、もちろんほかの代理店に依頼した場合と比較して大変魅力的です。ただそれ以上に、事業そのものに対して相談に乗ってくれたということが、私にとってはとても大きかったです。アンケート結果をもとにどの業態のどのくらいの規模の法人が相性がいいのか、=どんな層に刺さるCMにすれば、『法人のユーザーを獲得する』という目的の達成により近づけるのか。そうしたマーケティング戦略のパートナーとして併走していただいたことが、とてもよかったです。」

「TVCMとデジタルマーケティング、垣根を越えたマーケティング戦略へ」

―― 今後のノバセルに期待することはありますか?

「テレビCMを放映した際に、私たちはWEBでも同じエリアで認知系の動画広告を流すようにしました。そうすると、効果が(テレビCM)1+(動画広告)1=2ではなく、1+1=2.5くらいの効果が出ています。

なので今後は、テレビCMに限らず、テレビCM+デジタルマーケティングのセットで相談したいと考えています。

私たちはこれから段ボール以外の商品もどんどん展開していくつもりですし、競合がたくさんCMを打ってくる前に、やり切りたいと思っています。特に大手のプレーヤーが入ってくる前に、『段ボール・梱包材と言えばダンボールワン』と想起させておきたい。そのために、パートナーとして、今後もサポートよろしくお願いいたします」

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