テレビCMのデータ収集・分析の作業時間を大幅削減。 DMM.comがノバセル アナリティクス導入で実現した 最先端のテレビCM運用とは
「テレビCMの効果を測りきれていなかった」
―― ノバセルアナリティクスに興味を持たれたきっかけを教えてください。
私たちDMM.comは、多角的に事業展開を行う中でさまざまなテレビCMを放映してきました。ただ、せっかくテレビCMを打っているのに、その効果を評価しきれていない現状に課題を感じていました。私がもともとデジタルマーケティングの出身ということもあって、テレビCMもオンライン広告のようにその効果を数字で可視化したいと考えていた時に、ノバセルアナリティクスの存在を知ったことがきっかけです。
―― テレビCMの効果を可視化したいという目的の背景には、どのような課題があったのでしょうか?
大きくわけると2つの課題を抱えていました。ひとつはテレビCMの効果を測りきれていなかったこと。そしてもうひとつは、事業ごとに担当者の采配でテレビCMの制作・放映・分析を行ってきた結果、その運用が属人的になってしまっていたことです。補足しますと、弊社が放映してきたテレビCMは、大きくわけて2種類あります。ひとつは全体で行うキャンペーンなどの総合CM、もうひとつは事業ごとにサービスを宣伝する単一CMです。前者はセールなど、事業の垣根を超えて放映しているもので、後者は『ゲーム』や『英会話』など、そのサービス内容をピンポイントに謳ったものになります。
「分析手法が統一されておらず、ナレッジの共有も社内で行えていなかった」
―― テレビCMの効果を可視化したいという目的の背景には、どのような課題があったのでしょうか?
まず課題のひとつ目についてお話すると、DMM.comはこれまで多々テレビCM放映を行ってきましたが、CMおよび放映クリエイティブの効果を評価しきれていない現状に課題を感じていました。当然、これまでもさまざまなデータを取得していました。テレビCMを打つ前後で、リサーチデータやパネルデータなどを使ってGRP(GrossRating Point/延べ視聴率)を計測したり、NPS(NetPromoter Score/顧客ロイヤルティ)や顧客満足度がどう変わったかなどを分析したり。ただ、直接的な効果、つまりテレビCMを観た人が実際にどれくらい流入してきていて、そこからどれだけコンバージョンが生まれて、最終的にどれほどの売り上げになったのかが見えにくかったのです。特に総合CMを打つタイミングではオンライン広告をはじめ、『効果』と呼べる数値の変動にさまざまな要因が絡みます。
テレビCMの効果がこれだけあったと言えないということは、テレビCMをやり続ける理由はもちろん、テレビCMをやらない理由も証明ができないんですよね。CMは費用もかかりますし、効果が見ずらいとなれば実際に実施したくても実施しにくい、、だからこそ少し腫れ物に触るような感じになってしまうところがありまして、『テレビCMを打つ理由』をはっきりさせたいという思いがありました。そして2つ目の課題については、分析手法が統一されておらず、ナレッジの共有も社内で行えていなかったことが特に挙げられます。我々は様々な事業を展開していますので、成功体験も失敗体験もそれぞれのナレッジを社内で共有していくことで再現性の精度を高め、CM効果を上げていくことができるはず。ただ、これまでそういった環境が整い切れていなかったので、クオリティの標準化ができないままの状態でした。
「 『CMも効果を可視化し数値を基に改善できる』という状態を構築」
―― 効果分析ツールとしてはいくつかの選択肢があった中で、ノバセルアナリティクスを選んでいただいています。その決め手はなんだったのでしょうか?
一番大きな決め手は、すでに他業界・他業種における導入実績があったという点です。同時に、そもそもラクスルさん自身がその分析ツールを利用してテレビCMを運用し、成功体験をお持ちだったということも大きかったです。これまでの実績や知見を共有いただくことで、CM自体の効果を上げることはもちろん、再現性の精度も高められるのではないかと思いました。デジタルマーケティングでは、比較的小額の予算を投下して、数値を見ながら分析・検証・調整を繰り返していくことが当たり前の世界です。一方で、テレビCMの場合は一本にかける予算も大きいですし、頻繁に分析・検証・調整を行いにくい。だからこそ、数値化できない怖さや難しさを感じていました。
ところが、ノバセルアナリティクスを導入して初めてテレビCMを放映した際には、2週間の放映期間で初動は4本のクリエイティブを回していたのですが、スタートから3、4日でそこまでの実績を分析・検証し、テレビ局に差し替え依頼を入れ、後半1週間は効果が高いと判断したクリエイティブに絞るということができました。結果、テレビCMの効果を上げることができましたし、『CMも効果を可視化し数値を基に改善できる』という状態を構築できつつあることで、社内でCMに対して興味を持つ人も増え、CMに取り組む機運も高まっています。
「データ収集・分析・アウトプットまでの作業時間を大幅に削減」
―― ノバセルアナリティクスを導入されたことで、具体的にどのような変化がありましたか?
まず、データ収集・分析・アウトプットまでの作業時間を大幅に削減できました。今までは多方面からさまざまなデータをかき集めて、様々な角度で分析するという、完全に手作業ベースでの対応でした。ノバセルアナリティクスの導入後は、ダッシュボードという箱の中にテレビ周りのデータを入れ、Googleアナリティクスのデータを自動連携することで、動的にデータを集約し、効果を算出・表示してくれるので、必然的にアウトプットまでの時間も大幅に削減することができるようになりました。所感として、CM放映後に分析してアウトプットするまで1カ月はかかっていた作業が、2週間程度で終わるようになりました。
また、データが常に更新され、誰でも数値で効果を確認できる状態になっているので、、関係者に対しても、『このデータを見ておいてください』とコミュニケーションが簡略化されました。これまでCMの分析については、それぞれの事業担当者が属人的に行っていたことが多く、今後ノバセルアナリティクスを継続的に活用していくことで、分析クオリティの標準化も期待できると考えています。
「もっと深い位置でのデータ分析—テレビCMの貢献、価値を可視化したい」
―― 今後、ノバセルアナリティクスに期待することはありますか?
機能面における細かい要望は都度お伝えしているのですが、ひとつ大きな希望としましては、弊社側のBIデータ、売り上げや会員情報なども連携させていただけるようになると嬉しいですね。そうなれば、もっと深い位置でのデータ分析—テレビCMの貢献、価値を可視化できるようにしていけるのではないかと考えています。弊社は多角的に事業を展開している一方、それら事業がDMM.comというプラットフォームで繋がっている側面もあります。ですので実際に、あるサービスを検索して流入してくれたユーザーが結果的に別のサービスを利用されるということも多々あり、こういった行動・購買データを可視化しマーケティング活動に活かすことができております。
ただ、現状ではそのデータがCMに紐づいていないので、もし紐づけることができたら……実はテレビCMの費用対効果ってかなり高いのではないか、という仮説を検証したいのです。ある事業のCM効果が別の事業で出た、じゃあその価値はCMを打った事業部にある。自分たちがCMを打つことで会社全体の利益に繋がるとなれば、じゃあもっとCMを打ってもいいんじゃないか……これらを可視化していければもっと積極的に、効果的にテレビCMをやり切ろうという機運が高まっていくのではないかと期待しています。