3ブランドの広告効果をクロスメディアで分析、それぞれの戦略を見極める
メディア横断での広告効果最大化に向けMMMを実施
「サロン ド プロ」や「クレオディーテ」、「パルティ」など、幅広い年代向けのヘアカラー材を中心に、医薬部外品や化粧品を製造販売する総合化粧品メーカー、株式会社ダリヤ(以下、ダリヤ)。「こころ豊かに そして美しく」をコンセプトに、1941 年の創業以来、国内全域から東南アジアや中近東にも販路を拡大し、時代の感受性に応えた新製品を開発し続けています。
そんなダリヤで、F1層向けのヘアカラー材「パルティ」のエンドtoエンドのブランドマーケティングを担当している、商品戦略本部 商品戦略二部 課長の江口明彦氏は、同社が常に目指しているのは「広告効果の最大化」と話します。
ヘアカラー材において、各世代に向けた3つの主力ブランドがある中、広告業務における歴代の経験や実績に裏打ちされた正攻法に基づいて、マスメディア中心の施策を実施してきました。しかし近年は、デジタル広告の普及で変化を強いられるようになりました。
「私が担当する黒髪用ヘアカラーパルティのターゲットであるF1層は、昨今、テレビ離れが顕著です。加えて消費者が接触するデジタルメディアは多様化が進んでおり、限られた広告費用でいかにその効果を最大化するのか。その課題に取り組むためには、改めてブランドの広告効果を洗い出し、メディアごとの販売寄与を分析する必要があると考えました」(江口氏)
同社でも広告効果を検証していたものの、それは各メディアごとでの結果のみで、全体を包括した検証結果はなく、どの施策が製品の販売に一番寄与していたのかが包括的にわかりませんでした。そんなとき、兼ねてから取引のあった広告代理店の新東通信から紹介されたのがノバセルのMMM(マーケティングミックスモデリング)でした。
各ブランドの販売に寄与する媒体メディアをしっかりと可視化
「今回、MMMを導入するにあたり、デジタル広告とマス広告の共存をテーマに掲げました」と江口氏。分析の対象にしたのはF1・F2・F3層それぞれをターゲットにした3ブランドです。各ブランドがどのメディアで最大の広告効果を得ているのかを知ることで、今後デジタル広告への投資収益率を再考したいと江口氏は考えました。
過去5年分のデータをもとに、ノバセルと新東通信から一次レビューを受けた江口氏は「正直、こんなにもデータを可視化できるのかと驚いた」と振り返ります。どのメディアがどの製品の販売にどれくらい寄与しているのかが、一目瞭然だったのです。またその内容は、江口氏が立てていた仮説と近かったため「これまでやってきたことは、間違いではなかった」と確信できたことも大きな収穫でした。例えばF1層にはテレビCMよりYouTubeやXなど、F3層にはテレビCMの広告が最も効果を発揮していたことがわかり、それぞれの分布も見ることができました。
その後の最終レビューでは、一次レビューの情報更新と共に具体的な施策の提案も受け、新たな未来が想像できたそうです。新東通信 統合ビジネスソリューション本部の吉川光司氏は「F3向け商品でのデジタル広告による売上は少なかったものの、クチコミ系サイトなどは影響が高く、年代に合わせた最適なデジタルをマスメディアと併用していくべきだと判断しました」と話します。
多角的な分析結果をもとに、今後の戦略を策定
MMMは、ダリヤにおけるマスとデジタルによるクロスメディアでの広告効果を可視化しました。それをもとに、ノバセルと新東通信が協業して分析を行うことで、より多角的なレポーティングが実現し、同社は今後の戦略の方向性が見えてきたと言います。
新東通信 名古屋統括本部 本部長の渡辺全人氏は、ダリヤでのMMM実施を振り返り「ただ結果を伝えて終わるのでなく、この分析で得た示唆を今後のアクションにどう活かすのかに意味があると実感しました。新しい試みには勇気が必要ですが、こうしたハイレベルな分析においては、江口さんのような経営層に近い方の英断が、実行のスピードを速める鍵になります」と述べました。
江口氏は、今回MMMで得た知見を「次の世代につなげたい」と話します。「デジタルの比重が一層高まる時代を担う人たちに、これまでの正攻法を伝授するだけではなく、実際の広告効果を数値として定義することで、よりクリアな知見を伝えていきたいです。それが今後の成功の秘訣になるのではないでしょうか」(江口氏)
ノバセル担当者からのコメント
MMMの分析結果の読み解きや説明は容易ではありませんが、ダリヤ様と関係性の深い新東通信様の存在は大きな助けとなりました。それまでの経験やドメイン知識のおかげで、仮説立ての精度も高まり、両者の知見を掛け合わせた多角的な分析ができたことで、複数ブランドを相対的に見た質の高いプロジェクトとなりました。